大好きな和山先生、これはどうだろう…
昨年数々の賞を受賞し話題になった、漫画家の和山やま先生。
過去作に「夢中さ、きみに。」と、現在好評連載中の「女の園の星」がありますが、2019年8月に同人誌で発行された「カラオケ行こ!」が、一年後の2020年9月にコミックスとなって発売となりました。
実は、私も当時(現地は即完売だろうし、通販で買えないかな〜)と思っていたのですが、やはり撃沈。もう読めないのだと思っていたところ、コミックスとなってくれました!嬉しい!
元々同人誌だったこともあり、「BLっぽい」と言われることも多いこの作品ですが、これから読む方に合うかどうかを分かりやすく感想でお伝えできればと思います。
そして、続編についてとpixiv等諸情報もご紹介しておりますので、最後まで読んでいってくださいね。
それでは、GO!→→→
「カラオケ行こ!」あらすじ
合唱部部長の聡実はヤクザの狂児にからまれて歌のレッスンを頼まれる。
彼は、絶対に歌がうまくなりたい狂児に毎週拉致されて嫌々ながら
歌唱指導を行うが、やがてふたりの間には奇妙な友情が芽生えてきて……?
引用:amazon「カラオケ行こ!」
amazonのあらすじはこんな感じです。よく分からないので補足すると、
こんな感じでしょうか。
話の流れはヤクザ+中学生なので、当然無理矢理なのですが、設定がすでに面白く興味が湧きます。
読んだ感想
私は、他の和山作品を読んだ後にこちらを読んだのですが、この「カラオケ行こ!」は、1冊の漫画として非常に完成度が高く、ストーリーがよく練られているお話だというのが最初の感想でした。
私は、人生のほとんどを漫画に費やしてきたというほど漫画が何よりも大好きで、新旧関係なく素晴らしいものは繰り返し何回も、そして色々なジャンルのものを読んできました。
ここ最近流行っている漫画もある程度読んできたのですが、ここまでストーリーの緩急がしっかりされていて、ネームのリズムが整った「漫画然とした漫画」を久しぶりに読みました。
まず、そこが素直に素晴らしかったです。
和山作品は「面白いこと」「笑えること」やシュールなセンスが評価されているのですが、この作品は特に面白いだけではない、作品として素晴らしかったので、絶対に見ていないと思いますが作者に拍手と感謝を送りたいです。
具体的にわかりやすくいうと、1冊で起承転結がしっかりあり、見どころ・抜きどころの配置や、最後に色々繋がっていく伏線回収が素晴らしかったのです。
これって基本的なことなのですが、特に最近の漫画ではこの傾向が見られず(特に起承転結)、読んでいて構成に美しさを感じないので寂しい思いをしていたのですが、これはそこが素晴らしいです。
テーマ自体は「ヤクザと中学生の友情プラスα」であり、重苦しいものではないですが内容は軽すぎず、エンタメとして総合点が高い、そんな漫画でした。
最初に長々と語ってしまいましたが、単純に「めちゃくちゃ面白い!」です。私は和山作品の中では、こちらが1番好きです。全部良いのですが、和山節、シュールギャグもありつつ、ストーリーとして色々な感情を体験できることが好きなところです。
正直1/3くらい読んでいるくらいの時に、すでに(やっぱり買ってよかった〜)(最高)を感じてました。とにかく、面白い!テンポがいい!
相変わらずの和山ギャグが炸裂していて、声を出して笑っちゃいます。特に、「キ○ィちゃん恐怖症」「3代目米津玄師」「これからもどうぞよろしくね〜(西野カナ)」「カスです」「ナマステポーズ」が面白すぎて笑いすぎて動けなくなりました。
それから、主人公の聡実の性格がすごく良くて、メガネ陰キャなんですが、実際には腹が据わっている上に毒舌で、893にガンガン毒を吐いていく様が面白いんです。
狂児にビビっていたのも一瞬で、狂児が「紅」を歌っている最中、本人無視でチャーハンを頼むあたり、おもろいやんけと思ってキャラクターが大好きになりました。
狂児さんも狂児さんで、いつも飄々としていてイマイチ感情が見えない男なんですが、聡実にタバコの匂いがつかないように気を配ったり、行動が優しいんですよね。和山先生はこういう描き方をするのがすごく上手いのですが、キャラの良さを言葉以外で伝えてくれるところが好きです。
そして、聡実と狂児それぞれの晴れ舞台の日に思わぬ出来事が起こるのですが、最後の最後まで「あ、あれ。このことかー!」という伏線が張ってあって、最後は、ドキドキしながらもストーリーの気持ちの良さ、そしてこれからどうなるの!?という驚きと共に終わりました。
超良かった!すっごく良かった!!!
そして、コミックス出版に当たって描き下ろしされた若き日の狂児のお話も、とても良かったです。どことなくシリアスな雰囲気で、普段の和山漫画とは少し違う感じなのですが個人的には大好きでした。
若干気になるところがあるといえば、狂児はザーヤクなので多少暴力的な描写があったり、ショッキング(?)な絵があったりはします。普通だったら注意書きもいらないかな?とは思いますが、グロいの一切合切だめという人でなければ問題ないと思います。
「カラオケ行こ!」はBLか?
さて、「カラオケ行こ!」を購入するか迷っている方は、この項目も気になるところだと思いますが、BLかBLではないかと言われれば、これはBLかなと思います。あくまで個人の意見ですが。
ただ、直接的な接触があるわけではなく、「ほのめかす」的な表現があるだけなので、「BL一切読んだことない」「読めない」「拒否反応有」な人以外は大丈夫かな?と思います。
読む前は、多少の頬染めシーンがある程度だろうと思っていたのですが、読後はそれよりも若干はっきり描いてあるな、という印象です。
推測ですが、お互い(まぁ好きなんだろうな…)というのは分かります。友情以上恋人未満のような感じです。和山先生の本の中では、BL色が一番強いなとは思います。こういう性的な関わりはないが、好意はある男性同士の関係をbrother+romanceで、ブロマンスと呼ぶらしいです。まさにそれ。
ただ、生々しい感じ(?)はなく、純粋な感情として描かれているので、私個人としては「普段はBL読まない人も、和山本だと思えば読める本」だと思います。
BLに寛容で和山先生がお好きな方には、太鼓判でおすすめできます!!!
個人的BL目線での感想
※以下、BL目線での感想ですので、苦手な方は次の項目に進んでください。
まずこの本、普通に漫画として面白いんですが、BLとしてもめっちゃ良かった…良かった…
聡実くん、すんごいかわいい…;;すぐ泣いちゃう、すぐ悩んじゃうまだ精神的にゆらゆらしている中学生が可愛すぎて、ただただ愛しかったです。(T_T)
聡実が思い詰めて感情を狂児にぶつけて泣いちゃうところ、どきどきしちゃいました。心開いてるんだなあ。そして、狂児のガキ扱いが可愛くてもうダメでした。
狂児は、聡実を好きというか、単純に可愛くてしょうがないんだろうなというのが伝わってきました。分かるよ…その気持ち…可愛いよな…
私はBL本はお話があまり好きなものが見つからず普段は読まないのですが、この本はBL本でも好きだろうなぁ〜と思いました。
狂児は無理矢理なお願いをしますが、基本的にずっと配慮の出来る大人で、そこもすごく良かった。いちごは一人で食べたのかな…いちご狩りに行く中学生可愛すぎて爆笑しました。(笑うところかは分かりませんが)
チャーハン好きな育ち盛り中学生も可愛いし、パフェ食う39男も良い。良い、可愛い、面白い、最高しか言えません。
個人的にBL大丈夫だよって人には、絶対に絶対に絶対におすすめです。絶対に実際読んだ方が面白いんで、重要な部分はネタバレしてません。太鼓判でおすすめします!
pixivで試し読みできます!
試し読みは色々なサイトで出来るのですが、和山先生が同人誌時代にpixivにUPされていたサンプルがあったのでそれを見つけてきました!
是非読んでみてください♪♪♪
続編「ファミレス行こ。」は?
あと、最後読んで「あ〜〜〜終わった〜〜〜〜ちくしょう〜〜〜〜〜」と思ったんですが、なんとなんと「カラオケ行こ!」には続編があるそうなのです。
その名も「ファミレス行こ。」です。
ストーリーは無事大学生になった聡実のお話、とのこと。
4月12日発売の「月刊コミックビーム 2021年5月号」に22Pで1話が掲載されたようです。当初、3月号に掲載予定だったものが、休載し2ヶ月遅れての発表となったようですね。
こちらは不定期連載とのことで、「女の園の星」も連載中ですし、コミックスになるのは少し先でしょう。
1話掲載雑誌はこちらです♪
試し読みのようなものはないのですが、ツイッターに数枚サンプルが掲載されていますので、気になる方はご覧ください!
他の作品は読みましたか?
色々と熱く語ってきましたが、他の和山作品は読まれましたか?
全部めちゃくちゃ面白くておすすめなので、是非チェックしてみてください。
以下、レビューページに全て試し読みがありますので、迷っている方は参考にされてくださいね。
私のおすすめはこうです。
全て面白い上に全て別の良さがあるので順位はありませんが、ストーリーものが好きな私としては「カラオケいこ!」は最高の作品だなと思っています。