敏感で繊細なHSP。人工の20%を占めると言われてはいますが、周りのほとんどは非HSPで、そんな環境にいまいち馴染めない人もいます。
敏感すぎる自分を持て余している…家族や恋人・友人など、身近な人がHSPで、扱い方がわからない。そんな方に向けて、HSPの対処法や接し方、疲れの取り方、人との付き合い方などについてご説明していきます。
HSPとは
HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略称であり、「ひと一倍繊細な人」という意味です。
皆さんは繊細な人でしょうか?だとすれば、こんな経験はないでしょうか?
これらは全てHSPの特徴です。こういった特徴を持っている人の中には、ADHDや発達障害・うつ病を疑う方もいらっしゃるようですが、5人に1人はいると言われている「気質」で病気ではありません。
さらにHSPについて詳しく知りたい方は、こちらで確認してみてくださいね。
HSPの対処法。結局どうすればいいの?
自分がHSPと知ってから、「そうだったんだ」と安心してはみたものの、じゃあどうすればいいの?どうすればこの生きづらさが楽になるんだろう?と考えますよね。
とてもシンプルなのですが、案外出来ていない人が多いと感じる基本的なことを以下でご紹介しています。
自分がHSPである場合
HSPは非HSPに加えて、生きているだけで受け取る情報量がとても多いです。内側では、自分の感情と他人の感情、思考、感覚などでひしめいていて、いつも混乱しています。
例えば、会社で少し言い争いになった人たちを目撃したとしましょう。非HSPにとっては、「自分とは関係がないプロジェクトの話だし、仕事をしていればそういうこともあるよな」と思える何でもない日常の一コマも、HSPにとっては1日中引きずってしまう大きなストレスになってしまう事があります。
HSPは敏感です。そして、それは遺伝などから来る気質であり、恐らく今後も大きく変わることはないと思います。
それを踏まえて、HSPが今できることを3つご紹介します。
自分をよく知る
そんなHSPさんに一番大事なことは、まず自分をよく知ることです。
HSPは、大きな音に敏感、批判に弱い、など共通項があります。しかし、人によって「そんなに嫌ではないこと」と「我慢できないこと」の度合いは違います。
まずは、ご自分を知り、自分が不快と感じるボーダーラインを知りましょう。
例えば、「友人と一緒にいるのは楽しいが、3時間を超えると段々疲れてくる」等、自分の限界を知るのです。
そんな自分を受け入れる
例えば、友人といても3時間でしんどくなってしまう自分に対し、「もっと話したい、仲良くしたいのになんで」「感じ悪くて、言い出せない」など批判したりしていませんか?
あなたが心の中であなた自身を批判している時、内側にいる本当のあなたは、自分を受け入れてもらえずとても傷付いています。
あなたや他人がどれだけ批判しようと、認めずにいても、あなたはあなたです。頑張っても辛くなってしまう、敏感なあなたをどうか許してあげてください。
「だってそういう生き物なんだから、しょうがないよね」「私は私だし」そう自分に伝え、自分の一番の味方でいてあげてください。
自分を守る
あなたは、とても綺麗で繊細なグラスを購入した場合、おうちのどこに置くでしょうか?割れないように、傷つかないように、大切に保管しますよね。普通はそのグラスを、つい落っことしてしまうようなところには置きません。
反して、かなり丈夫な作りのマグカップはどうでしょう。ちょっと落としても割れないとなると、どこにでも置いておけます。
大切な日、気分を上げたい日には、繊細なグラスが重宝するでしょう。日常的にはマグカップが使いやすい。どちらが良いというわけではなく、どちらにも利があります。そして、それぞれに合わせた扱い方や、使用方法があるのです。
これは比喩ですが、ものも人もそれぞれ特徴があり、長所と短所があります。あなたはあなた自身を知りましたが、その上でどう扱っていますか?
あなたは繊細で、とても敏感であることは事実だと思います。だからこそ、自分を守るために、あなた自身を置く場所はあなたを大切に出来る場所にしてください。
例えば、友人関係などであれば、あなたを大切にしてくれる人としか付き合わない、あなたがHSPであることを話して理解してくれる人以外とは距離を置く、などです。
また、職についても、HSPは悩むことが多いと思います。
非HSPは、お金のため家族のため、「普通の仕事を普通にすること」がそこまで苦ではありません。しかし、HSPは競争の激しい場所や、騒がしすぎる場所は苦手です。人と一緒に仕事をすることが苦痛であることも多く、それが当然であるこの社会ではHSPは働きずらいのです。
しかし、これらは、お金や常識、親などの意思を自分より優先させている状態です。あなたの人生はあなたが主人公で、あなたが気分良く生きていくために、色んな選択をしても良いのだ、と言うことを知って欲しいです。
あなたはあなたにしかない長所があります。だからこそ、他の人に合わせて我慢するのではなく、自分を尊重し、積極的に自分に合う環境を選びましょう。
時に、特定の職場や人間関係から去る事が必要な時もあります。自分が心地よい場所に自分を置いてあげる。それが自分を守る、ということに繋がります。
身近にHSPがいる場合
身近な人がHSPの場合も、概要としては同じです。
相手を知り、そんなHSPを受け入れてあげましょう。相手がどういう環境を選ぶか、というのはあなたの領域外ですが、もし可能であれば相手と相談し、HSPが心地いい環境づくりを手伝ってあげるのも良いと思います。
HSPはイメージで言うと、子猫みたいなものかなと思います。大きい音が嫌いで、傷つきやすく、優しいです。大切に扱ってあげる必要があります。
もしそれが面倒、手間、甘えだと感じる場合は、「ありのままの相手を受けいれられない(愛せない)」と言うことですから、そっと離れるのが良いと思います。
非HSPはHSPから見るとすごく鈍感で強く、逆から見ると繊細すぎて弱いように見えます。ですから、両者が仲良くすると言うのは難しいかもしれません。
しかし、「相手は自分とは違う価値観や感じ方をする人間なのだ」という考えを持ち、注意深く相手を観察するようにすると、色々なことが見えてきます。HSPは付き合うのが簡単な人たちではないですが、よく知っていくと、とても豊かな心を持っていることが分かるでしょう。
HSPの疲れの取り方
HSPは、神経が過敏になり、精神面はもちろんのこと肉体面にも影響が出ています。
両面からのアプローチを意識してみてください。
【精神面】1日2時間以上、1人の時間を作る
HSPは、静かで安全な環境の中で、深く自分について内省をしたり、本を読んだりすることでエネルギーを回復します。
これは西洋占星術で得た知識なのですが、敏感な人たち(太陽が12ハウス等)は「最低1日2時間一人の時間がないと、精神的に回復しない」と言う考え方があります。
家族などがいて2時間は難しいとしても、1日15分でも自分だけの時間を取るようにしてみてください。そしてその時間は、読書・瞑想をして、静かに過ごすことです。
HSPは、読書を通し今いる現実以外の世界を体験したり、自分以外の人の感情を感じることで、とても落ち着くことが出来ます。社会で必要な思考的な側面ばかり使って疲れている自分を、癒してあげてください。豊かな感受性を解放する事ができ、精神的に自由を感じることができるのです。
また瞑想もおすすめです。1日5分でも、静かで何も考えない時間を作りましょう。継続していくと、自然と心が落ち着き、安心する時間が増えていきます。
【肉体面】運動・入浴・マッサージを行う
HSPは過敏な自分を落ち着かせるため、精神的なアプローチばかりに気が取られがちですが、精神と肉体は非常に密接な関係を持っていますので、体を癒すことも心を癒す一つの方法です。
あなたがストレスを感じている時、あなたの体はどうなっているでしょうか?
HSPは、肉体的側面から見れば「過緊張」とも言えます。外部から、いつ何時自分を危険に晒す何かが襲ってくるのではないか、といつも警戒している状態です。
肩は少し上がり、体は硬く強ばり縮こまっています。慢性的なストレスと緊張で、手足の先がピリピリする人もいるでしょう。そんな状態で「リラックスしましょう」と言われても、すぐには出来ません。
ですから、物理的に体に対してのアプローチが必要です。運動や入浴、マッサージで体をほぐしましょう。
特におすすめなのが運動です。走るのが苦手な方は、散歩でも構いません。運動することでエネルギーが巡りますので、一つのことに固執して考え続けたり、悩んだりすることが減ります。
途中、自然の中で過ごすことも、非常に良いです。鳥の鳴き声や水音、木々のさざめきは、癒しの効果が高く、あなたの緊張をほぐしてくれる効果があります。
HSPは外部からの影響を避けるためにイヤホンを外せない人が多いですが、場所によってはイヤホンを外して、鳥や自然音を楽しみましょう。
また、入浴やマッサージも効果的です。いい香りのするバスソルトやアロマオイルを入れ、体を温めてください。緊張している時は体が冷たくなっており、その状態ではリラックスできません。体が硬くなっているところを手で触り、ほぐしてあげましょう。
HSPの人との付き合い方
HSPは、周りの人と同じような人付き合いをするのが難しく、そのため人間関係で悩みが出来やすかったり、罪悪感を感じてしまう事があります。
ここでは、HSPが「人付き合いで注意すると良いこと」についてご紹介します。
ルールを作る
HSPは、非HSPが「楽しい」と思うことが苦痛に感じる事があります。また、感受性が鋭く他人との境界線が曖昧だったり、自己主張が苦手だったりして、他人に流されたり強く出られると従ってしまう場合もあります。
そんな自分をよく知り、相手も自分も嫌いにならないために、自分ルールを作りましょう。
例えば、「友達と会うのは3時間まで」「1ヶ月に一度だけ」などです。
こういったルールを作っておけば、相手に対してNOが言いやすくなり、罪悪感を持つことも減ります。自分の限界をしれば、それを踏まえて人付き合いができるようになります。
人を選ぶ
HSPは、誰とでも付き合える人たちではありません。ですが、相手に悪気がない場合は特に、相手と距離を置いたり、相手を悪く思うことに罪悪感を持ちがちです。
「自分に好意を向けてくれているけれど、人の話を聞かない、パワフルすぎてついていけない人」がいるとします。こういう人は、おおよそ善良で悪い人ではないけれど、無神経で若干幼稚です。付き合うのにパワーが必要な人なのでHSPは疲れてしまうのですが、相手が好意を持ってくれている場合、ついつい相手軸になって(でも相手は好意を持ってくれているし…)と悩んでしまいます。
しかし、人間関係というのは、相手も自分も両方好意を持ち、付き合っていきたいと言う意思とお互いの責任の元にスタートするものです。
あなたはどうしたいのかと言うことに集中し、「付き合う人は自分で選ぶ」と決めましょう。
人を選ぶことは失礼なことではありません。お互いが好意を持ち合う関係性でなく、気を遣っている関係は、最終的には相手を傷つけることになります。自分と合わないことを知ることは、相手にとっても大切なことで、あなたが相手に与えることのできる最大の思いやりです。
どちらにしろ、「沢山の人と交流するのが楽しい人生」にはならないので、1人でも理解者が現れれば万々歳と言う風に考え、あなたが本当に「この人と仲良くなりたい!」と思う人とだけ付き合うようにしましょう。
言葉で伝える
HSPは非常に感受性が鋭く、相手の感情や意思を読み取る力がすごいです。下手をすると、相手が気づいていない感情すら気づくことができます。
これは素晴らしい才能なのですが、人間関係でこの能力を発揮した場合、「気遣いができる」を超えて相手の境界線に無断に侵入することになったり、相手にも同じ気遣いを要求してしまうことになります。
自分が相手の考えている事が分かるので、(このくらい表現すれば分かるだろう)と思う相手に伝える方法が間接的すぎて相手が気づかず、トラブルに発生することもあります。
HSPは、はっきり言わなければならない場面でも、はっきりした言葉を使うことが苦手です。(例:「やめてください」「それは嫌いです」等)
そういう言葉を使うと、自分で発したにも関わらず、その言葉の攻撃性に自分がやられてしまい動揺してしまうからです。
これはおおよそ「NO」に関する事なのですが、相手に「NO」を伝えることは、相手との間に境界線を引くという非常に重要な作業です。ですので、これを避けないようにしてください。
きつい言葉を使うのが苦手な人は、前置きや相手の感情に配慮する形に工夫しながらも、NOははっきり言うようにしましょう。直接的な表現を避けたり、相手に気づかせようとすることは、結果的にコントロールに繋がって、相手を不快にさせたり傷付けたりする事があります。
特にHSPは、他人に自分がどう言う人間か自然と分かってもらうと言うのは、少し大変です。ですから、あなたがどう言う人間で、どうしてくれたら嬉しく、何が快適なのか、できる限り相手に伝えるように、心がけてみてください。
まとめ
HSPは感受性が豊かで、優しい気質です。しかし、繊細すぎて現代の社会では生きづらく、孤独を感じている方も多いと思います。
そういう「生きづらさ」がいつか全て解消出来るかどうかわかりませんが、自分をよく知り、一緒にいたい誰かにそれを共有することで、毎日のストレスを少しづつ解消していくことは出来ると思います。
自分を周りと比較するのではなく、自分がどういう人間で、そんな自分とうまく付き合っていくためには、どんな風にすれば心地いいのか、そう言う目線で自分に優しくしてあげると良いと思います。
また、HSPは自己肯定感が低い人が多く、それが原因で色々な傷を抱えて生きています。HSPは遺伝やDNAなどに関係する性質ですが、自己肯定感はカウンセリングなどによって、変化させることが可能です。
もちろん家族、恋人、友人に話しをしても構いません。しかし、適度に距離があるが信頼できる他人(これがとても重要です)に話を聞いてもらうことが、とても高い効果を発揮する場合もあります。